「インクルーシブ教育情報室」訳
41.委員会は日本に対し、以下の点を懸念している。
(a)知的障害のある人、心理社会的障害のある人、障害のある高齢な人、身体障害のある人と、より集中的な支援を必要とする人が、特に地域社会から離れたところでの居住施設(living arrangements)などで永続的に収容されていることによって家族および地域社会で生活する権利を奪われていること。また児童福祉法によって障害のある子ども(特に知的、心理社会的または感覚的障害のある子ども、より集中的な支援を必要とする子ども)が、様々な施設に永続的に収容されていることによって、家族および地域社会で生活する権利を奪われていること。
(b) 公営・民間の精神科病院で、心理社会的障害のある人と認知症のある人の施設収容が助長されていること。特に、心理社会的障害のある人の期間に定めのない入院状態が続いていること。
(c) 障害のある人は、どこに住むのか、どこで誰と生活するのかを選択する機会が制限されていること。特に、親を頼って親の家で生活している人、障害者総合支援法に基づくグループホーム等の特定の施設に入所している人にとって、上記の機会が制限されていること。
(d)居住施設や精神科病院に住む障害のある人を施設から出し、他者と平等に地域社会で自立して生活するための国家戦略や法的枠組みが欠如していること。また障害のある人が自律的であることや完全なソーシャル・インクルージョンの権利に関する認識が欠如していること。
(e) 地域社会で自立して生活するための障害のある人の支援体制が不十分であること。 例えば、アクセシブルで手頃な賃料・価格の住宅、在宅サービス、パーソナル・アシスタンス、地域社会でのサービスへのアクセスなど。
(f)地域社会での支援とサービスの支給決定の仕組みが、障害の医学モデルに基づいていること。
42. 自立した生活及び地域社会への包容(第19条)に関する一般的意見第5号(2017年)及び緊急時を含む脱施設化に関するガイドライン(2022年)を参照し、委員会は日本に対して以下のこと強く求める。
(a) 障害のある子どもを含む障害のある人の施設収容を終わらせるための迅速な措置をとること。 具体的には、障害のある人を居住施設に収容させるための予算を、障害のある人が他者と平等に地域社会で自立して生活するための準備と支援へと割り当てること 。
(b) 期限に定めのないあらゆる入院を中止するために、精神科病院に入院している障害のある人のすべての事例を再調査すること。地域社会で必要な精神保健支援の提供に加えて、インフォームド・コンセントを確保し、自立した生活を営むことができるよう促進すること。
(c) 障害のある人が、どこに住むのか、どこで誰と生活するのかを選択する機会を確保すること。また、障害のある人がグループホームなどの特定の施設に住むことを義務づけられず、自分の生活に関しての選択権と決定権を行使できるようにすること。
(d) 障害者団体との協議の上、明確な期限のある達成目標と人的・技術的・財政的資源を伴う法的枠組みおよび国家戦略を立ち上げること。この法的枠組みおよび国家戦略は、障害のある人の自律と完全なソーシャル・インクルージョンの権利を認め、他者と平等に障害のある人が施設から地域社会での自立した生活に効果的に移ることを目的とすること。また都道府県にその実施を確保することを義務づける。
(e) 障害のある人が地域社会で自立して生活するための支援体制を強化すること。これには、収容施設ではなく独立したアクセシブルで手頃な賃料・価格の住宅、パーソナル・アシスタンス、ユーザー主導の予算、地域社会でのサービスへのアクセスなどが含まれる。
(f) 地域社会における支援とサービスの支給決定の仕組みを、障害の人権モデルに基づくものとなるよう改定すること。具体的には、障害のある人にとっての社会における障壁及び障害のある人の社会参加とインクルージョンのための支援に関する評価を含む。